サフラン 
学名  Crocus sativus
日本名  サフラン
科名(日本名)  アヤメ科
  日本語別名  
漢名  蕃紅花(バンコウカ, fānhónghuā)
科名(漢名)  鳶尾(エンビ,yuānwěi)科
  漢語別名  藏紅花(ゾウコウカ,zànghónghuā)、西紅花(セイコウカ,xīhónghuā)、紅藍花(コウランカ, hónglánhuāa)、洎夫藍(サフラン,záfūlán)、撒法郎(サツホウロウ,săfăláng)
英名  Saffron
2006/10/28 薬用植物園
2021/10/29 薬用植物園

2006/12/14 同上 2007/04/19 同左

辨  サフラン属 Crocus(蕃紅花 fānhónghuā 屬)には、地中海地方・北アフリカ・中東に約100種がある。

  C. alatavicus(白蕃紅花)
 アルタイ山脈産 
  C. ancyrensis
 早ざき
  C. biflorus
 春ざき
  C. chrysanthus(金黃蕃紅花;E.Golden crocus)
 春ざき
  C. flavus
    subsp. flavus(C.aureus, C.moesiacus;鮮黃蕃紅花)
東歐・小アジア産 
  C. kotschyanus
 秋ざき
  C. ochroleucus
 秋ざき
  C. pulchellus(優美蕃紅花)
 秋ざき
  サフラン C. sativus(蕃紅花;E.saffron)
秋ざき
  C. sieberi(西伯蕃紅花)
 早ざき
  秋ざきクロッカス C. speciosus(美麗蕃紅花)
秋ざき
  ハナサフラン C. vernus(春蕃紅花・蕃紫花)
 春ざき。アルプス・バルカン山脈産。 
    
 アヤメ科 Iridaceae(鳶尾 yuānwěi 科)については、アヤメ科を見よ。
訓  英名は、アラビア語「黄色 zafaran」から。
 仏語では safran、独語では Safran。
 和名は、オランダ語 saffraan の音写。
 乾燥した花柱を薬品などとして用い、これをサフランと呼ぶのが本来の用法。
 漢語別名の洎夫藍・撒法郎も、西方言語の音写。
 なお、洎夫藍の洎(キ,jì)の字は 咱(サ,zá・zán)の誤りだが、すでに李時珍『本草綱目』が誤用しており、そのまま通用している。
 小野蘭山『本草綱目啓蒙』11に、「番紅花 チヤフラン羅甸 サフラーン同上 フロウリスエンダーリス紅毛、フロウリスハ花ナリ コロウクスヲリエンダーリ同上、コロウクスハ花ナリ」と。
 属名 crocus は、一説に、ギリシア神話において ニンフのスミラクスに恋焦れて死んだ美少年クロコス Krokos に由来するといい、一説にギリシア語の糸 kroke により、サフランの雄蘂の柱頭が垂れるようすから、という。
説  南ヨーロッパ乃至小アジア原産。アテネ周辺に自生する C. cartwrightianus(2倍体)から選抜された3倍体。
 漢土には、元(1271-1368)時代に食品として入った(李時珍『本草綱目』)。
 日本では、平賀源内『物類品隲(ひんしつ)』(1763)に初見。実物は文久年間(1861-1864)に渡来、薬用に栽培した。
誌  薬品としてのサフラン Saffron(C:蕃紅花,バンコウカ,fānhónghuā)は、雌蘂の柱頭を乾燥したものである。強い防腐力を持ち、また黄色色素や芳香を含むので、食品・化粧品・薬品などの染料・香辛料・調味料としても用いる。『中薬志Ⅲ』pp.378-380 『(修訂) 中葯志』V/317-320 
 日本では、生薬サフランは サフランの柱頭である(第十八改正日本薬局方)。
 サフランは、1オンス(28.35g)のサフラン粉を集めるのに、四千以上の花を必要とし、莫大な労力を要したため、古代ギリシア・ローマでは 金と同じ価格で取引されたという。地中海地方ではミノア人が栽培し、クレタ文明はサフラン貿易で栄えた。
 イギリスには14世紀に巡礼が持ち帰り、以後19世紀まで 南部地方で栽培され続けた。
 近世のイギリスでは、茶にサフランの粉を入れるサフラン茶が流行した。今日では、ブイヤベース・パエリアなど、地中海料理の必需品。また観賞用に栽培する。

   つつましき朝の食事に香をおくる小雨に濡れし洎芙藍の花
   四十路びと面さみしらに歩みよる二月の朝の洎芙藍の花
     
(北原白秋『桐の花』1913。サフランは秋ざきだから、下の歌の洎芙藍はクロッカスであろう。)
 

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